人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています

「私は、今朝も官舎の方にたくさん声をかけてもらいました。が、千歳さんは相変わらず見つからず、です」

　言いながら、今朝、成田さんに言われたことを思いだし、途端に頬が熱くなる。それを隠すように慌ててうつむくと、勇朔さんはそれを私が落ち込んだと勘違いしたらしい。

「もどかしいですよね。俺と婚約者のフリをして一緒に住むまでしているのに。俺が早く、〝千歳〟を見つけることができればいいのですが」

　その声色に申し訳なくなって、慌てて顔を上げた。

「いえ、大丈夫です、から……」

　言いながら、心配そうに見つめられていることに気づいてまた顔を伏せてしまった。
　申し訳なさもあるが、それ以上に、なんだか無性に恥ずかしいのだ。

　これは、私が恋心を意識してしまったからなのだろうか。
　しどろもどろになりながら答えると、勇朔さんは少しだけ顔をしかめ、寂しそうな顔をした。