人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
「あの」

 食事を終え、洗い物をふたりでしていると、隣にいた勇朔さんが口を開いた。

「なんでしょう?」

 お皿を拭きながら彼の方を見ると、勇朔さんは言葉を吟味するように一度口をつぐむ。しかしすぐ、意を決したように紡ぎ出した。

「『八年前、千歳仁斗が第百二施設直接支援大隊に所属する二等陸曹だった』というのは、事実であっていますか?」

「え?」

 思わず手を止める。勇朔さんは、困ったように眉をひそめ、言いにくそうな口をゆっくりと開く。

「実は今日、一度根本に戻ってみようと八年前の神奈川県の駐屯地データベースを回ってみたのですがー―」

「もしかして、千歳さんはいなかったんですか?」
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