人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
 勇朔さんは、本当に優しい。
 かけてくれた言葉が胸にじわんと響き、彼がこんなにしてくれるのだから、私も諦めたりしていたらダメだと思わされる。

「すみません。八年前の記憶なので、間違ってたのかな、とか思ったらなんだか虚しくなってしまって。……でも、その通りですよね。私も引き続き、頑張って〝千歳さん〟探します!」

 目に力を入れ、泣いちゃダメだと笑みを浮かべる。私には、こんなに力強い味方がいるんだから。

「芽郁さんは、どうしても〝千歳〟を見つけたいんですね」

 勇朔さんの優しい声色に、意気込みこわばっていた心がほっと緩んだ。
 私はあの日のことを思い返す。千歳さんがかけてくれた言葉、かけてくれた上着。そして、あの日見つけた、うさまるのお墓とネームプレート。

「はい。八年前のあの日、私を救ってくれたのは間違いなく〝千歳さん〟ですから」

 言いながら、こらえていた涙が溢れそうになる。慌てて布巾を置き、涙を手で拭っていると、「芽郁さん」と優しく名を呼ばれた。

「今度、俺とまた、デートに行きませんか?」
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