人探しをしていたはずなのに、優しすぎるエリート自衛官に溺愛されています
「告白のお返事は、〝千歳〟が見つかってから聞かせてください。気が変わるかもしれませんから」

「……はい」

 真剣な顔に思わずそう答えると、勇朔さんはほっとしたように頬をほころばせた。

「今度の日曜日は、空いていますか?」

「はい、空いてます」

「では、その日に。行き先は、考えておきますね」

 勇朔さんはそう言うと、「あとは俺がやりますから」と私をお風呂へ促した。

「俺はどうしたら、〝千歳〟を越えられるんだ……」

 私がキッチンから出ていく時に勇朔さんがこぼしたその言葉は、私には聞こえなかった。
< 93 / 178 >

この作品をシェア

pagetop