絆という名の細い糸

第0章

俺の隣の席で、サラサラとクラスメイトの名前が記入されていく。たった今、年に一度の学園キャンプの班決めがおわったところだった。
当たり前だが男女は別の班。テントも違う。男子は男子、女子は女子でそれぞれ班を決めなければならない。うちのクラスは学級委員が男子なので、男子の方は素早く決まった。今はまだ、女子が怒声混じりに話し合っている。
学園キャンプでは、1年4組、2年4組、3年4組の縦割りの班になる。各クラスで班を決め、それを先生達が適当に組み合わせて班は完成する。その手順の、1番最初に各クラスでの班決めがある。人数の関係から、うちのクラスからは男子3人班が4つ出来る。ジャンケンに勝ち、俺は見事3人班を勝ち取ったのだ。
「マジでナイス!」
「あぶねー。ぼっちになるとこだったわ」
と、班を組んだ諒真(りょうま)孔明(よしゆき)が口々に言う。
この2人は、小学校からの仲で、この地域では頭のいいほうであるこの学校は、内部進学と外部進学がある。小学校からの内部進学は受験がないが、外部進学はきちんと中学受験を受けてきてる。俺らは内部進学。内部進学というと頭が悪そうに聞こえるが、俺はちゃんとこの学校にあった偏差値を持っている。諒真と孔明は別として。
クラスで行った班決めから3週間。本校舎と特別教室棟を結ぶ渡り廊下の手前に、キャンプの班は大きく掲載されている。わざわざ朝っぱらから見に行かなくても帰りの会にて先生が配ってくれるからいいものの、それでもやはり気になってしまうのには理由がある。もちろん先輩が誰かもそうだが、この学園キャンプでは係によって班の中で仕事が異なってくる。どの係をやりたいかの希望を1週間前に出したため、基本はそれに沿って決めてくれる。でも、人数制限もあるのでなかなか全員が希望通りにとは行かない。自分も、1年生は優先順位が低いから仕方ないものの、第2希望である食事係に回されてしまい、少し落ち込んではいた。諒真と孔明も第2希望に回されたらしい。しかし、俺は孔明と同じ。諒真は設営係。テントや最後の集会の会場を設営する係。3人で少しガッカリしながら教室に戻る。今日の3時間目、早速班での顔合わせがある。先輩達はどんな人なんだろう。小学校が過ぎて初めての上下関係に、少しワクワクもしていた。そんな気持ちを抱え、1時間目の号令をした。
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