絆という名の細い糸

第1章 糸

うるさい。
耳を塞いで、寝袋にくるまった。
今の時刻は、深夜0時丁度。もちろん、中学生が友達と夜を過ごす時に騒がないはずがないが、わかっていてもやはり腹が立つ。立ち上がり、
「うるさい。もう寝るから静かにしてて」
と俺は言った。でも、
「なんだよー。キャンプの時ぐらい騒ごうぜ!」
「お前は好きな人とかいないのか?」
等と返されてしまう。全く何を言っても無駄な奴ら。
仕方なく、俺は無言で再び寝袋にくるまった。
俺は朝が苦手。早めに寝なければ明日起きられない。明日は朝早くから食事を作らなければならないので、自分達の食事のためにも騒がないでほしい。
まぁ、俺が朝起きれないのが悪いのは分かっているが、無理に起きることはできないし、スマホも回収されてるからアラームすらかけられない。できるだけ早く寝なければ。俺はそう思い、目を閉じた。
 先生の怒声が聞こえて目を覚ました。
テントに申し訳程度についている小さな窓から外を見る。もう完全に朝になっていた。
テントの中を見渡すと、もう誰もいない。俺のテントは俺と諒真と孔明の3人で、3人の荷物はテントの隅に置いてある。
ふと下に目をやると、先程まで2人のどちらかが寝てあったであろう寝袋の上に、シンプルなノートが置かれている。持ち上げて表紙を見ると、赤色のペンで乱雑に

極秘

と書かれていた。目立つように、更に赤丸で囲まれている。何となくひらいてはいけないような気がして、
俺は持っていた手をパッと離す。ノートがパサっと音を立てて寝袋の上に落ちた。逃げるようにテントの入口を潜り、俺は外に出た。
すると、ちょうど調理器具を取りに来てたらしい3年生の誠先輩と目が合った。
「おはよ!もう調理始まってるから準備できたら早めに来いよ!」
この先輩は、好きだ。陽キャの極みみたいな感じなのに、漫画で出てくるような先輩とにてる。優しく、後輩にも対等に接してくれるのだ。
「おはようございます。急いで準備して行きますね!」
言い終わった時には既に離れていたが、先輩は片手を上げ、振りながら離れていった。急いで準備を進め、俺はみんなが調理している場所に向かった。
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