へなちょこリリーの惚れ薬
シュッ! と黒百合の髪が伸びて、トレニアとシャーロットの首を締め上げた。
「……!!」
「ぐえっ!」
「なにをするの!?」
「礼儀を教えてあげるわ」
髪の毛が恐ろしく伸びて高く伸び上がると、その高さから二人を床に叩きつけた。
「痛ったあ!!!」
「大丈夫?」
シャーロットの変身は解けてしまっている。
「口のきき方に気をつけることね。第一、リリー、あなた何しに来たの? 私に力の使い方を教えてもらいに来たのよねえ?」
「そうだけど……!」
髪の毛はまだトレニアの首に巻きついている。
「自分ではろくに努力しないで、人を羨んでばっかり……。そのくせ、人になにか言われるのは気にするのね」
「ちょっと! 一体なんなのよ……」
「魔法が使えるようになりたいのだって、男に会いたいからなんでしょ? さもしいっていうか、図々しいっていうか」
「……」
「ホラ、また傷付いた」