へなちょこリリーの惚れ薬
「外は久しぶりだわ……」

地下から出ると、黒百合は噴水を元通りに直した。

「さあ、帰りましょうか」
「……」
「トレニア? どうしたの?」

トレニアは顔を上げて、言った。

「リリーは、私より黒百合と一緒がいいんだね」
「そういう意味じゃないよ」

黒百合とシャーロットは黙っている。

「彼女は精霊よ。リリーに扱えるとは思えないわ」
「……私も、思ってないよ」
「じゃあなんで? 私止めたよね」

< 122 / 275 >

この作品をシェア

pagetop