へなちょこリリーの惚れ薬
ノア様の気持ちが解る。
彼のためなら、きっとおばあちゃんは自分の命を投げ出していただろう。
気が強いおばあちゃんだから。
だから、ノア様は黙っていた。
自分の命を使って、おばあちゃんを守った。
好きだったから。
「おばあちゃんが生きててくれたから、お母さんが生まれて、私が生まれた。私は、ノア様と黒百合がいたおかげで、生きてるの。だから……」
彼を恨まないで。
彼女を憎まないで。
「自分を責めないで、ノア様は……。国よりなにより、おばあちゃんだけを守りたかったの。黒百合は悪役を買って出てくれたのよ」
おばあちゃんは何も言わなかった。
私にはきっと、説得なんてできない。
わかってもらう、なんて、無理かもしれない。
「……リリー。トレニアたちを送って行きましょう」