へなちょこリリーの惚れ薬
聞きたいことが山ほどあるけど、何から聞いたらいいのかわからない。

「……あのね……。どうしてノア様は死ななきゃならなかったの?」

人柱なんて。
あんなに優しい人が死ななきゃならなかったのが悔しい。




そんな道をどうして選んでしまったのか。




黒百合の女神は、ベッドに寝っころがったまま話し始めた。

「ラウネルを、ノアとカインの兄弟が統一する直前に、隣りの国が攻めてきたの」
「……」
「隣の国……シャルルロアは、圧倒的に兵力が上でね。戦いが続いて疲弊してた、ラウネルの兵で勝てるわけがなかった。ま、降伏なんてしたくなかっただろうし。気持ちはわからなくないんだけど」
「それで?」
「ノアに、シャルルロア国のお姫様がね……。結婚してラウネルを差し出せって迫ったんだけど、ノアにはローズがいたからねえ……」



同盟というより、隷属に近い条件だったため、それを拒んだこと。
攻め込まれるのがわかり、結界を張ったこと。

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