へなちょこリリーの惚れ薬
「あの子たちには、選択肢も時間もなかった」
「なんとかしようと思えばできたんじゃないの? 何か他の方法が」

きっと家臣の中には、降伏を勧めた者もいたはず。

「戦を始めたのは、ラウネル側なのよ。ノアとカインの兄弟が、国を統一するために戦を始めた

。それが、周辺諸国には隙に見えたでしょうね」

国の統一を目前にして、隣国が攻め寄せた。


「ローズは立派に戦ったわ。その辺の兵士たちじゃ太刀打ちできないぐらいに」

……そうか。

「魔女として戦いに参加してたのね」

そのために、女神と契約をしたのね。

「そう。そこで王子様を助けた。結果的には死なせた出会いだったわけだ」
「そんな言い方ないじゃない」
「世界中を敵に回して恋したんだねえ」

おばあちゃんは、そんな悲しい思いをしてきたのね。

「私は、ノアよりもローズに死なれる方が困る。いちおう、主だからね」
「……」

おばあちゃんは悲しみで心を閉ざしてる。
女神の優しさをはねつけるほどに。


仲直りできないかしら。





「さ、お喋りは終わり。練習したら」
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