へなちょこリリーの惚れ薬
「泣いてるの? リリー」
「……うん」
泣いたって仕方ない。でも。
恋って、こんなに辛いの?
「……出会わなければ良かったの?」
「馬鹿ねえ。今更そんなこと言ったって、仕方ないでしょ」
ゴンッ、と黒百合の拳が飛んできた。
「出会う必要があるから出会ったの。アンタはノアに会う必要があったし、ノアはアン
タに会う必要があるの」
「……そうなの?」
「そうなの。そういう風に世の中は出来てるの」
偶然っていうのは無いの。本当は。
「アンタがいくら悔やんだって悩んだって、過去は変えられない」
ノアは戻らない。
「でもねえ」