へなちょこリリーの惚れ薬

「泣いてるの? リリー」
「……うん」

泣いたって仕方ない。でも。
恋って、こんなに辛いの?



「……出会わなければ良かったの?」
「馬鹿ねえ。今更そんなこと言ったって、仕方ないでしょ」

ゴンッ、と黒百合の拳が飛んできた。

「出会う必要があるから出会ったの。アンタはノアに会う必要があったし、ノアはアン

タに会う必要があるの」
「……そうなの?」
「そうなの。そういう風に世の中は出来てるの」

偶然っていうのは無いの。本当は。

「アンタがいくら悔やんだって悩んだって、過去は変えられない」


ノアは戻らない。


「でもねえ」
< 150 / 275 >

この作品をシェア

pagetop