へなちょこリリーの惚れ薬
「黒百合からどこまで聞いているんだい」
「人柱になって、結界を張ったこと……。ノア様が埋められてる時、おばあちゃん泣いてた」
あ、これは聞いたわけじゃないか。
「あの時から、ラウネルは結界で守られているんだ。ノア様が自分の命を使って、敵から国を守れるようにしたんだ」
「どういうこと?」
「ラウネルに敵意を持って侵入したものは、永遠に森を迷い続ける。といっても、人間は食い物がなければ死んでしまう。国の内部には入れず、森から抜けることもできない。敵兵はみんな死ぬしかないのさ」
「……だから、『迷いの森』なのね」
永遠に国を守る森。
そういう意味だったのね。
敵を餓死させるのが目的、というのが、いかにも黒百合らしい。
それを選んで受け入れたのはノア様なんだけど。