へなちょこリリーの惚れ薬
「……ずっと? 地下にいたじゃない」
「そうよ。私は地上に出なかった。ローズが望まなかったから」
「……石になってたじゃない」

ふふん、と黒百合は小さく笑った。

「私が、人間ごときの魔法が解けないとでも思うの?」
「いつでも解けたの?」
「そうよ。寝てただけよ」

そういえば、どうして学校の地下に彼女がいたのか、よく解からない。
そのことを聞こうとしたが、「どうするか決めた?」と突然聞かれた。
「なにを?」
「ノアのところに行くかどうか」
「……まだ悩んでる」



私は正直に答えた。
ノア様に会って、ちゃんとハート型に出来たペンダントを見せたい。


「ねえ、リリー。お話してあげよっか?」
「なんの?」
「何が聞きたい?」

唐突過ぎる。

「じゃあ……、ノア様のことを聞かせて」
「そうねえ」
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