へなちょこリリーの惚れ薬
小さな領地を治める、それが、生まれた時から決められた運命だと思っていた。
「ふたりですごいコトしない?」と彼女に畳みかけらた。
ローズと会う口実ができればいい、最初はそんな気持ちだった。
でも、驚きが、気持ちを変えた。
神様を探す。
そんな大冒険、めったにできるものじゃない。
古文書に残された神殿の場所を求めて、連日、国中を飛び回った。
ほうきに二人乗りして。
毎日が楽しかった。世界のすべてが変わってしまったように、心が躍ったのを覚えている。
思い出すのは空の青さと君の声。
ローズとリリーがそっくりな顔をしていることに気づいていたのに。
「……ごめん。別の子の話ばかりだね」
君はローズじゃない。
「いいよ。私が話してって言ったんだから。続きを聞かせて?」
優しいところもそっくりだ。