へなちょこリリーの惚れ薬
「着いたわ」



城の門は閉ざされていた。

「2年前に助けてもらったローズです、お願い、姿を見せて」
「ノアです。お願いです、扉を開けてください」

静かに門が開き、闇の中に黒百合の女神が現れた。




「……あなたたちは……。久しぶりね」
「こんな時間に押しかけて申し訳ない」
「何の用かしら」
「力を貸していただきたい」
「何かあった」
「私のせいで戦火が広がった。戦いを終わらせたい」

彼女は私たちを城に招き入れると、黙って話を聞いてくれた。
後悔も泣き言も恨みも、すべて受け止めてくれた。

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