へなちょこリリーの惚れ薬
「あたしね……。黒百合がノア様を殺したと思ったの。ひどいって思ったの。違ったのに……」
「……リリー?」
「ノア様が選んだことだったのにね」

ごめんなさい、と私は黒百合の女神に頭を下げた。
黒百合は、ノア様の気持ちと、おばあちゃんの命を守ってくれていたのに。

「別にいいわよ。知らなくて当たり前なんだから」

ノア様の選択が間違ってたなんて、もう言えない。
だって、私は生きてるんだから。

「黒百合……。ありがとう」
「いーえ」

もう帰らなくちゃ。
おばあちゃんに、ノア様の言葉を伝えたい。

「……あっ」
「リリー?」

……ノア様と、キスした。
どんな顔しておばあちゃんに会えばいい?

トレニアとシャーロットは顔を見合わせて、黒百合は軽く肩を上げた。

「おばあちゃんの好きな人だって知ってたのに……怒るかな?」
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