へなちょこリリーの惚れ薬
願い事、たくさん
ワンピースを一枚縫って、それを着て、ノア様がくれたペンダントをつけた。
「リリー、学校行こう」
トレニアとシャーロットが迎えに来る。
ノア様とさよならしてから、話し合いの結果、私たちはまた学校に行くことにした。
保護者代わりに黒百合の女神が着いていくと言い出した。
「この前、リリーのおばあちゃんに言われたんだ。なんかやることあるだろって」
「うん」
「私、もうちょっと本気で魔法を勉強してみるよ」
黒百合の女神に攻撃された時、なにもできなかった。
リリーが魔法の練習をしていた時も、何も手伝ってあげられなかった、とトレニアは言った。
「そんなことないよ。……トレニアはいつだって私を助けてくれてるじゃない」
「そうだけど! そうなんだけどね」
もっとこう、トレニアは両手を広げた。
「せっかく、私は天才なんだから、人の役に立ちたいと思ったの」
「どういうこと?」
「リリーが好きだった人みたいにはいかないけどさ、一番近くにいる友達のことぐらいは、私が守るよ」
ぎゅっと私の手を握ってトレニアは微笑んだ。
「二人でいっしょに卒業しよう?」
「……うん!」
「リリーが学校に来た!」
懐かしい、いじめッ子のクラスメート。
ほんの数日、学校に来てなかっただけなのに。
リリーのくせに、ペンダントなんてつけてるわ、とケタケタと笑う。
……うるさい。
「あなた、誰?」
「なんですって!? リリーのくせに……!」
「名前も名乗れないの」
変われ、と小さく呪文を唱える。
そうよ、私は女神の力を使えるようになった。
彼女の体の半分を、砂糖に変えてあげた。