へなちょこリリーの惚れ薬
「これは……、リリー。また、ここに来れたのかい?」
螺旋階段を、ノア様が音もなく下りてきた。
ゆったりとした足取りに、思わず返事ができなくなる。
「どうしてここへ?」
「あっ、はい、あの……。こないだのお礼です」
あたしは、持ってきたパイを入れた籠を差し出した。
「クランベリーのパイか。ありがとう」
ミートパイは家に置いてきた。
ごめんねトレニア。
「この雨の中、大変だったね。今、拭くものを」