へなちょこリリーの惚れ薬
何度も何度も繰り返して、気付いたら、朝になっていた。



カーテンの隙間から、森と空が見える。
深い闇が、少しずつ青に変わっていく。

あたしは……。

血だらけになった両手で、石をしっかりと握り締めていた。

「……」

魔法を使えるようにならなきゃ、ノア様に会いに行けない。


……おばあちゃんだったら。
……トレニアだったら。

きっと簡単に出来ちゃうんだろうな。
それこそ、ミートパイを作るぐらいに。

「どうしてあたしにはできないの……?」




どうして?





「……どうしてよッ!!」
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