へなちょこリリーの惚れ薬
着替えると、半透明の、ぼんやりした姿を走って追いかける。

……速い……。


「リリー、あなたなら扉を開けられる」

頭の中に響く声。

「どこの扉よ!?」
「少しは考えなさい」

ノア様もそうだったけど、彼らにはやっぱり実体がない分、速いのだろうか。

……実体?
ノア様とは手が繋げた。
幽霊じゃない、けど。


でも肉体はもうないはず……?

黒百合の女神は……。
彼女は、そもそも人ではなさそうだし?


「あっ、しまった」

いないし。

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