幼なじみの脳外科医とお見合いしたら、溺愛が待っていました。
「わかりました、私もご一緒します」

 招待状を返すと、秀一郎さんは表情を変えずにうなずいた。

「よろしく頼む」
「はい」

 秀一郎さんから頼まれごとをされるなんて思ってもみなかった私は、素直にうれしかった。

 関わるなって言われていたから、夫婦同伴のイベントに誘ってもらえるとは思わなかったからだ。

 でもきっと、総合病院の次期院長として今後のため、古くからの学友や先輩方に挨拶もかねて、参加しておいたほうが得策だということなのだろう。

 庭に出て、ホースで水を撒きながら、私はなにを着て行こうか頭を悩ませた。

 夫婦、家族単位で招待されているということは、それほど堅苦しくない雰囲気なのかもしれない。

 それでも、出席者の方々からは秀一郎さんの妻として見られるのだから、ちゃんとしなくては……。

 秀一郎さんに迷惑をかけたくない、と緊張感を抱いて迎えた同窓会当日。

 さすが国内最高学府の同窓会とあって、高級ホテルのバンケットルームは粛々とした雰囲気に包まれていた。

 出席者は優に二百人以上はいると思われる。

 今日は悩んだ挙句、以前友人の結婚式で着用したケープ風の黒いレースワンピースで来た。

 クラシカルなデザインで膝丈スカートのシルエットも綺麗なうえ、シフォンジョーゼットが繊細でやわらかい印象があり気に入っている。

 秀一郎さんは黒の上質そうな生地のスーツをサラリと着こなしていた。

 外見もスタイルもあまりにもスマートだから、この会場に来るまでに何度もすれ違う女性から注目を集めていた。

 秀一郎さんと一緒にいると、とにかく目立ってしまう。

 受付を済ませた私たちが会場内で飲み物を受け取ると、すぐに周囲には人が集まってきた。

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