幼なじみの脳外科医とお見合いしたら、溺愛が待っていました。
話を聞き、時折お母様も会話に参加する。
けれども必死に話を盛り上げようとする叔父とは対照的に、不機嫌そうな秀一郎さんは相槌すら面倒そうだ。
感情の起伏がないため、整った顔立ちが余計際立ち、まるで精巧な作り物さながらの現実離れした美しさがあった。
「あとはふたりでお話でも」とお母様に言われたとき、秀一郎さんと目が合って私はビクッと肩を揺らした。
お話なんて、できるだろうか……。
お母様に促されてレストランを出て、秀一郎さんとふたりでホテルの中庭にやって来た。
咲き誇る桜の花がとても綺麗。
「あの、久しぶりにお会いできてうれしいです」
一歩分前に立つ秀一郎さんに勇気を振り絞って伝えたけれど、軽く無視された。
すごく恥ずかしくてうつむくと同時に、綾乃が言っていたことは正しかったと認めざるをえないと思った。
歳を重ねて大人になれば、誰だって落ち着きはするだろう。
しかし彼の変貌ぶりは、成長という一言では説明がつかない。
あの頃は優しかったのに、どうして……。
困惑を隠しきれず足を止めたとき、秀一郎さんが振り向いた。
「きみの叔父さんがどうしてもと言うから設けた席だが、直前で相手が変更になるとはずいぶん杜撰だな」
言いながら睨まれて、私は身を固くする。
あまりの美しさと怖さに、私は萎縮した。
「結婚する気がないなら早く手を引け。迷惑だ」
きっぱりと言い切られ、軽く放心した。
「め、迷惑……?」
気の抜けた声で復唱する。
たしかにお見合いは結婚する気がある者同士が出会う場だ。
それなのに今回の私のように代役で出席したら、結婚する気はないと判断して、怒られるのも無理はなかった。
「ただの冷やかしに付き合うのは時間の無駄だ」
「冷やかし?」
私に何度も懇願するくらいだ。叔父は本心で桐谷家との繋がりを望んでいる。
けれども必死に話を盛り上げようとする叔父とは対照的に、不機嫌そうな秀一郎さんは相槌すら面倒そうだ。
感情の起伏がないため、整った顔立ちが余計際立ち、まるで精巧な作り物さながらの現実離れした美しさがあった。
「あとはふたりでお話でも」とお母様に言われたとき、秀一郎さんと目が合って私はビクッと肩を揺らした。
お話なんて、できるだろうか……。
お母様に促されてレストランを出て、秀一郎さんとふたりでホテルの中庭にやって来た。
咲き誇る桜の花がとても綺麗。
「あの、久しぶりにお会いできてうれしいです」
一歩分前に立つ秀一郎さんに勇気を振り絞って伝えたけれど、軽く無視された。
すごく恥ずかしくてうつむくと同時に、綾乃が言っていたことは正しかったと認めざるをえないと思った。
歳を重ねて大人になれば、誰だって落ち着きはするだろう。
しかし彼の変貌ぶりは、成長という一言では説明がつかない。
あの頃は優しかったのに、どうして……。
困惑を隠しきれず足を止めたとき、秀一郎さんが振り向いた。
「きみの叔父さんがどうしてもと言うから設けた席だが、直前で相手が変更になるとはずいぶん杜撰だな」
言いながら睨まれて、私は身を固くする。
あまりの美しさと怖さに、私は萎縮した。
「結婚する気がないなら早く手を引け。迷惑だ」
きっぱりと言い切られ、軽く放心した。
「め、迷惑……?」
気の抜けた声で復唱する。
たしかにお見合いは結婚する気がある者同士が出会う場だ。
それなのに今回の私のように代役で出席したら、結婚する気はないと判断して、怒られるのも無理はなかった。
「ただの冷やかしに付き合うのは時間の無駄だ」
「冷やかし?」
私に何度も懇願するくらいだ。叔父は本心で桐谷家との繋がりを望んでいる。