幼なじみの脳外科医とお見合いしたら、溺愛が待っていました。
「きみは素直だな」
普段よりもやわらかい声色でつぶやかれ、私はドキッとする。
「それなのに俺は、独占欲にまみれたひどい男だ」
辟易としたふうに天を仰ぎ、秀一郎さんはため息を吐いた。
「ど、独占欲……?」
言っている意味がわからなくてオウム返しした私は、射抜くような強い目で秀一郎さんに見つめられた。
「ああ。俺は怪我をした織部店長に嫉妬した。きみがあんまり彼に構うから、おもしろくなくて苛立ったよ」
織部店長に嫉妬? そんなまさか……。
ドクンと鼓動が強く打ち、呼吸さえままならない。
唖然とする私の目の前で決して視線を逸らさずに、嘘みたいな本音を打ち明けているのは本当に秀一郎さんなの……?
これまでの彼と同一人物なのか到底信じがたくて、私はまばたきも忘れた。
「俺の体を心配して真っ直ぐにぶつかってくるところも、一緒に食事をするときの笑顔もかわいいと思った」
言いながら、秀一郎さんは手を伸ばし、湯だつほど熱い私の頬に触れる。
反射的に肩がビクッと揺れた。
「思えばきみは幼い頃から無邪気で、可憐で、花のようにかわいかった」
幼い頃から……かわいかった?
跳び上がるくらいうれしい言葉たちに、私は頭の中を混乱させる。
「あ、あの!」
制御の仕方もわからなくなって、私の口から思いのほか大声が出ると、秀一郎さんは頬に触れていた手をパッと離した。
「ちょ、ちょっと待ってください。頭の中が、全然整理できなくて……」
私は文字通り頭を抱えた。
短距離走をしたわけでもないのに脈拍が異様に速くなり、息も荒くなった。
「だってそんな素振り、まったくなかったから、びっくりすぎて……!」
パニックになり早口でつぶやく。
すると秀一郎さんは、今度は私を落ち着かせるように頭をポンとなでた。
「初めに愛のない結婚だと言ったのはほかでもないこの俺だ。だから一緒に暮らすうちにどんどんきみに惹かれていく自分に、俺自身も正直戸惑ったよ」
穏やかな口調で言い、私の手をギュッと握った。
「だけど、もう気持ちを隠せない」
声質が一変する。
普段よりもやわらかい声色でつぶやかれ、私はドキッとする。
「それなのに俺は、独占欲にまみれたひどい男だ」
辟易としたふうに天を仰ぎ、秀一郎さんはため息を吐いた。
「ど、独占欲……?」
言っている意味がわからなくてオウム返しした私は、射抜くような強い目で秀一郎さんに見つめられた。
「ああ。俺は怪我をした織部店長に嫉妬した。きみがあんまり彼に構うから、おもしろくなくて苛立ったよ」
織部店長に嫉妬? そんなまさか……。
ドクンと鼓動が強く打ち、呼吸さえままならない。
唖然とする私の目の前で決して視線を逸らさずに、嘘みたいな本音を打ち明けているのは本当に秀一郎さんなの……?
これまでの彼と同一人物なのか到底信じがたくて、私はまばたきも忘れた。
「俺の体を心配して真っ直ぐにぶつかってくるところも、一緒に食事をするときの笑顔もかわいいと思った」
言いながら、秀一郎さんは手を伸ばし、湯だつほど熱い私の頬に触れる。
反射的に肩がビクッと揺れた。
「思えばきみは幼い頃から無邪気で、可憐で、花のようにかわいかった」
幼い頃から……かわいかった?
跳び上がるくらいうれしい言葉たちに、私は頭の中を混乱させる。
「あ、あの!」
制御の仕方もわからなくなって、私の口から思いのほか大声が出ると、秀一郎さんは頬に触れていた手をパッと離した。
「ちょ、ちょっと待ってください。頭の中が、全然整理できなくて……」
私は文字通り頭を抱えた。
短距離走をしたわけでもないのに脈拍が異様に速くなり、息も荒くなった。
「だってそんな素振り、まったくなかったから、びっくりすぎて……!」
パニックになり早口でつぶやく。
すると秀一郎さんは、今度は私を落ち着かせるように頭をポンとなでた。
「初めに愛のない結婚だと言ったのはほかでもないこの俺だ。だから一緒に暮らすうちにどんどんきみに惹かれていく自分に、俺自身も正直戸惑ったよ」
穏やかな口調で言い、私の手をギュッと握った。
「だけど、もう気持ちを隠せない」
声質が一変する。