幼なじみの脳外科医とお見合いしたら、溺愛が待っていました。
 私は言葉を失ったまま、肌に注がれる刺激に必死で耐える。

「愛未、すごくかわいい」

 名前を呼ばれるのと、胸への愛撫が同時だったので、体の奥が痙攣するようにゾクッとした。

 反対の手は私の下半身へと伸び、自分でも触れたことのない敏感な場所に到達する。

「俺だけを見てほしい。これからずっと」

 片想いしていた秀一郎さんにいとおしげな目で見つめられると、お腹の奥がキュンと軋んで苦しくなった。

 とめどないキスで体のこわばりがだいぶ解れた頃、秀一郎さんの指が私の体を割って入り、控えめな水音を響かせた。

「あっ、んっ……」

 自分のものとは思えない鼻にかかった声が口から漏れ、制御できない。

 途中で何度か、大丈夫?と気遣われ、私は火照った顔でコクコクとうなずいた。

 指や舌や唇で丁寧な愛撫を重ねられて、体が蕩けそうになる。

 じゅうぶん受け入れる準備ができてから、いよいよ秀一郎さんとひとつになった。

「んん!」

 圧迫感に顔をゆがませると、秀一郎さんが手のひらで優しく私の頰に触れた。

 堪えるようなせつなげな表情で、息を吐きながら。

 さっきまでは私ばかりが余裕がないと感じていたけれど、そうではないのかもしれないと気づき、幸せな気持ちでいっぱいになった。

 それに肌をぴったりと密着させていれば、初めての痛みが軽減されてゆく。

 それでも息も絶え絶えで、額に汗を浮かべる私を、秀一郎さんが優しい眼差しで見つめた。

「これからは真っ直ぐに愛するから、覚悟して」

 宣言の後、緩やかに律動が始まる。

 目の奥がジンとして、なんだか泣きそうだった。

「あっ、はあっ」

 窮屈な感覚に唇から湿った吐息がこぼれた。

 秀一郎さんの背中に両腕を回し、ギュッとしがみつく。

 熱のこもった瞳に見下ろされ、濃厚なキスが繰り返されると、形容できない感覚はやがて快楽へと変わっていった。

 まさかこんな日がくるなんて……。

 中学生の頃もお見合いをしたときも、まったく想像がつかなかったけれども、迷いなく幸せの絶頂だと言える。

 秀一郎さんの動きに身を委ね、私は遠のく意識のなか、再会できたことに喜びを感じた。
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