幼なじみの脳外科医とお見合いしたら、溺愛が待っていました。

「ニ、ニヤニヤなんてしてました?」

 頬がたるんでいるか、手をあててたしかめた私のそばまで来て、「ああ、してたよ」秀一郎さんがニコリと返した。

「いやあ、その、ご両親にお会いできてよかったなって思って……」

 最初は緊張したけれど、両親を古くから知る人たちと懐かしい話ができたのが幸せだったし、それに……。

「お母様にお似合いだって言っていただけたのがすごくうれしかったんです。少しは夫婦らしくなれたかなって」

 言ったとたんに、胸が苦しくなる。

 比喩ではなく、照れながら白状した私は、背後から秀一郎さんにきつく抱きしめられたのだ。

「そうだな。それなら、夫婦らしいことをしようか」

 耳もとで吐息混じりにささやき、秀一郎さんは私の頰に手をそえてキスをした。

 顔をグイッと持ち上げられる体勢で、秀一郎さんの濃厚な口づけに酔いしれる。

『これからは真っ直ぐに愛するから、覚悟して』

 気持ちが通じ合い、体を重ねてからというもの、秀一郎さんは宣言通り真っ直ぐに向けてきた。

「んっ、ふ、ん……」

 舌と舌が絡まり合う蜜度の高いキスに、立っていられなくなる。

 私は密着している秀一郎さんの体を控えめに押し返した。

「あの、お母様からのお土産が……」

 まだ冷凍庫に入れていなかったアイスクリームが入った紙袋は、私たちの目の前のキッチン台に置かれていた。

 キスを中断された秀一郎さんは、不満そうに紙袋を見つめたけれど、すぐにまた口づけを乞う。

「先にこっちが食べたい」

 色気たっぷりに接近してくるので、私は誘惑に負けじと顔をそらした。

「そ、そうじゃなくて、溶けちゃう前に冷凍庫に入れなくては」

 紙袋の持ち手をギュッと強く掴む。

 すると、秀一郎さんは私の頭をポンとなでた。

「ごめん。きみがあまりにもかわいいから、止められなくて」

 詫びるともつかない言い分に、不覚にもときめいてしまう。

 真っ赤になっているであろう顔で見上げると、秀一郎さんは魅惑的に目を細めた。
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