幼なじみの脳外科医とお見合いしたら、溺愛が待っていました。
お見合いの翌日。
私は職場の花屋『olive(オリーブ)』で、パソコンに向かい注文票をチェックしていた。
oliveは駅から歩いてすぐのアーケード街が続く『駅前商店街』にある路面店で、十坪程度の小さな花屋だ。
店員は私と織部(おりべ)店長のふたり。
去年までは織部店長のお母様も働いていたのだけれど、ご病気で亡くなり、それからふたりで営業している。
「愛未ちゃん、俺配達に行ってくるから店番お願いね」
店先に軽ワゴン車を停め、運転席から軽快に下りてきたのは店長の織部正隆(まさたか)さん。
茶色い髪は緩くうねっていて、色白でおしゃれな雰囲気から、三十八歳という年齢よりいくつも若く感じられる。
そのうえ柔和な笑顔がお客様に人気で、独身なので織部店長目当てと思われる女性客も多かった。
もちろんフローリストとしての腕もたしかで、昔からアレンジメントフラワーや装花、スタンド花の注文も多い。
「はい、わかりました」
さまざまな企業に定期的に配達している商品をトランクに詰め、納品書を確認した私は店先に立って織部店長を見送った。
「お気をつけて行ってきてくださいね」
「うん、ありがとうね。いってきます」
運転席で織部店長は笑顔で片手を上げる。
人を和ませる表情に、こちらも自然と笑顔になった。
ふたりで営業しているので、ときどきお客様から「ご夫婦ですか?」なんて聞かれることもある。
私が織部店長の奥さんだなんて恐れ多いけれど、彼は私にとってもはや家族のような存在だった。
oliveは昔両親と住んでいた家から近く、母も生前懇意にしていた。
小学生くらいの頃、夕方母と駅前商店街に買い物に来て、最後にoliveに寄ってリビングに飾る花を選ぶのが楽しみだった。
当時は織部店長のお母様もご健在で、季節の花をアレンジしたとっても素敵なブーケを作ってくれた。
織部店長は高校生の頃から店を手伝っていて、優しいお兄ちゃんみたいで私はなついていた。
oliveも含め、この駅前商店街全体に母との思い出が詰まっている。
私は職場の花屋『olive(オリーブ)』で、パソコンに向かい注文票をチェックしていた。
oliveは駅から歩いてすぐのアーケード街が続く『駅前商店街』にある路面店で、十坪程度の小さな花屋だ。
店員は私と織部(おりべ)店長のふたり。
去年までは織部店長のお母様も働いていたのだけれど、ご病気で亡くなり、それからふたりで営業している。
「愛未ちゃん、俺配達に行ってくるから店番お願いね」
店先に軽ワゴン車を停め、運転席から軽快に下りてきたのは店長の織部正隆(まさたか)さん。
茶色い髪は緩くうねっていて、色白でおしゃれな雰囲気から、三十八歳という年齢よりいくつも若く感じられる。
そのうえ柔和な笑顔がお客様に人気で、独身なので織部店長目当てと思われる女性客も多かった。
もちろんフローリストとしての腕もたしかで、昔からアレンジメントフラワーや装花、スタンド花の注文も多い。
「はい、わかりました」
さまざまな企業に定期的に配達している商品をトランクに詰め、納品書を確認した私は店先に立って織部店長を見送った。
「お気をつけて行ってきてくださいね」
「うん、ありがとうね。いってきます」
運転席で織部店長は笑顔で片手を上げる。
人を和ませる表情に、こちらも自然と笑顔になった。
ふたりで営業しているので、ときどきお客様から「ご夫婦ですか?」なんて聞かれることもある。
私が織部店長の奥さんだなんて恐れ多いけれど、彼は私にとってもはや家族のような存在だった。
oliveは昔両親と住んでいた家から近く、母も生前懇意にしていた。
小学生くらいの頃、夕方母と駅前商店街に買い物に来て、最後にoliveに寄ってリビングに飾る花を選ぶのが楽しみだった。
当時は織部店長のお母様もご健在で、季節の花をアレンジしたとっても素敵なブーケを作ってくれた。
織部店長は高校生の頃から店を手伝っていて、優しいお兄ちゃんみたいで私はなついていた。
oliveも含め、この駅前商店街全体に母との思い出が詰まっている。