絶対に許さない
僕たちは友達付き合いを始めた。毎日ラインを送り合って、休みを合わせて映画を観に行って、花火大会では迷子にならないように手を繋いで。
これが、友達の範囲なのかはわからない。
彼女は優しくて、可愛い。だからこそ僕は、彼女と親密になりたくない。僕はアニメオタク。部屋にはアニメグッズが山のように置いてある。
彼女にハマりたくない僕は、適度な付き合いを心がけた。
それなのにあるとき。僕は風邪を引き、一人暮らしのアパートに彼女がお見舞いにやってきた。
僕は、覚悟した。ついに、友達関係が終焉を迎える日がやってきたのだ──。
際どい服装の女の子のポスターや、胸の大きな女戦士のフィギュアに、彼女はドン引きするだろう。虫ケラを見るような冷たい目で、僕を見ることだろう。
「律音くん。なに食べたい?」
「……お粥がいい。卵入りの」
「わかった。冷蔵庫を見てもいい?」
「うん」
「出来るまで、寝て待っていてね」
「うん」
彼女の赤くてふっくらとした唇が僕の名前を呼ぶ。
僕は苗字でしか呼ばれたことがなかったし、女子の下の名前なんて呼んだら睨まれるものだと怯えていた。
下の名前で呼び合う関係って、いいなって思う。でもそれも、今日で終わり。
これが、友達の範囲なのかはわからない。
彼女は優しくて、可愛い。だからこそ僕は、彼女と親密になりたくない。僕はアニメオタク。部屋にはアニメグッズが山のように置いてある。
彼女にハマりたくない僕は、適度な付き合いを心がけた。
それなのにあるとき。僕は風邪を引き、一人暮らしのアパートに彼女がお見舞いにやってきた。
僕は、覚悟した。ついに、友達関係が終焉を迎える日がやってきたのだ──。
際どい服装の女の子のポスターや、胸の大きな女戦士のフィギュアに、彼女はドン引きするだろう。虫ケラを見るような冷たい目で、僕を見ることだろう。
「律音くん。なに食べたい?」
「……お粥がいい。卵入りの」
「わかった。冷蔵庫を見てもいい?」
「うん」
「出来るまで、寝て待っていてね」
「うん」
彼女の赤くてふっくらとした唇が僕の名前を呼ぶ。
僕は苗字でしか呼ばれたことがなかったし、女子の下の名前なんて呼んだら睨まれるものだと怯えていた。
下の名前で呼び合う関係って、いいなって思う。でもそれも、今日で終わり。