彼女は渡さない~冷徹弁護士の愛の包囲網

「えー、まだ飲む……」

「いくら好きでもこのくらいにしておけ。明日、仕事できなくなるぞ」

「仕事続けたいのに……戻らないといけないのかな……佑と……結婚……ひ孫なんて無理」

「おい、どういう意味だ?」

「佑ってあの、例の同級生だな?おい、しっかりしろ」

「……」

 ぼーっとしてしまう。少し飲みすぎた。

「このミネラルウオーターを飲め」

 そう言われて、ごくごくとなみなみとつがれている水を飲む。

「はー」

 頭が少しはっきりした。

「落ち着いたか?僕は先にシャワーを浴びてくるから佳穂は酔いを醒ましなさい」

 先生がシャワーを浴びている間に、ワイングラスやつまみを片付けた。

 先生が濡れた髪を拭きながらバスルームから出てきた。久しぶりだからか色気が半端ない。見てはいけないものを見た感じだ。私は目を反らした。

 すると先生が目の前に回ってきた。

「具合はどうだ?少し酔いが覚めたか……」

「すみませんでした。私もシャワーを浴びて寝ます」

「シャワーを浴びたら僕の寝室へ来るように」

「え?」

 先生は背中を向けて寝室へ向かった。
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