彼女は渡さない~冷徹弁護士の愛の包囲網
「先生……ひどいです」
「何を隠している?」
私はお爺ちゃんが私と佑の結婚を望んでいること、佑が畑を買い取ってお爺ちゃんの借金を返済させると言ってくれたこと、そして畑ごと私を娶りたいと言ったことを少しづつ話した。
「佳穂。まさか君は、畑のために僕と別れて幼馴染君と結婚することを勝手に決めたのか?」
「決めてません!お金を借りて私が借金を一括返済しようと思ったんです。でも、佑が言うことを聞いてくれなくて……」
「彼は君に本気なんだろう」
「私は佑を幼馴染にしか見られないから断ってきたんです。それにご家族も反対している。でも彼はそれでもあきらめないと言って、私がいない間なにくれとなく祖父母のことを見てくれてました……私が悪いんです。彼に甘えてたんです」
「君は有能な弁護士秘書の割には、自分のこととなると何が解決に必要なのか頭が回らないようだな。お爺さんの借金はあといくら残っているか知っているのか?」
「予想ですが、調べたところおそらく300万円くらいかと思います」
「ほう。利子は計算外で?」
そう言えばそうだった。額面計算しかしてなかった。先生の言う通り、ちっとも頭が回ってない。
「そうでした……すみません」
「まあ、それも考えるとおそらく相当あるな。返済が滞ったとなると、利子が増して返済を急がないと大変なことになる。まずは借金を片付ける必要がある」
確かにそうだ。
「私がお金を借りて代わりに返済します」