彼女は渡さない~冷徹弁護士の愛の包囲網

「そうかもしれませんけど、でも……」

「でも、じゃない。今まで黙っていたが、君の幼馴染は同居が決まってから君に内緒で僕を訪ねてきたんだ。その時、僕へブドウを渡しながら、俺はいずれ佳穂と結婚するつもりですと牽制してきたんだ。忘れもしない、そうはさせるか!だから先に僕は君と結婚したんだ」

「えええー!」

 びっくりした。そんなことがあったなんて佑からも聞いてなかった。先生は私の両手を握ってさらに私を壁に追い詰めた。

「佳穂は誰にも渡さない。一生僕のものだ。離婚も絶対しないぞ。君はこの結婚をなかったことのようにして、再婚でもしようと考えているんだろう」

「ちょ、ちょっと待ってください……佑と結婚の約束なんてしていませんでした、今だってそうですよ」

「嘘だ。君は祖父母のためなら、僕を捨てて彼と再婚する。そうはいかないぞ」

 先生は私を引っ張って抱きしめるとそのままベッドに私を押し倒した。

 先生は光る眼で私を見つめ、こう言った。

「ひ孫の話だが……」

「え?」

「君のお爺さんはきっと相手が僕だろうと、幼馴染君だろうと、ひ孫ができるなら認めてくれそうだな」
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