彼女は渡さない~冷徹弁護士の愛の包囲網

「だって……もう、だからっ!私のことばかりじゃなくて……先生が私を本当に、す、好きなら考えます」

 先生が私を愛してくれたらと言いたかった。だが、先生が急に遮るように低い声でつぶやいた。

「好き?結婚したんだ、当たり前じゃないか……いや、理由はそれだけじゃないんだろう?もしかして……身体の相性がわかってからとかそういうことなのか?」

「は?!」

「僕らの仕事の相性は完璧だ。諒介が言うには身体にも相性があるというじゃないか」

「そ、そんなの、私にわかるわけないじゃないですか!私は初心者です!」

「そうか。僕も実はそちらは初心者だ。お互い若葉マーク同士、少しずつそのことは探って勉強していくしかない」

「勉強って、若葉マークって先生ったら……」

 おかしくてつい笑ってしまった。

「何を笑ってるんだ、ずいぶんと余裕じゃないか?初心者なのは嘘なんじゃないのか?例の幼馴染と何かあったんだろう?」

「ありませんよ、何を言ってるんですか!」

 先生は私に覆いかぶさってきた。そして真剣な目で私を見て言った。

「佳穂……わかっていないようだから、言っておく。僕は君が好きだ」

「……本当ですか?」

「どうして疑っているんだ?君を幼馴染に渡したくないと言っただろ」

「だって、先生は私を秘書として欲しいだけですよね?佑と結婚したら私がいなくなるから、だから契約結婚をもちかけたんじゃないの?」
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