彼女は渡さない~冷徹弁護士の愛の包囲網

「……佳穂」

 佑がじっと見て言った。

「やっぱり俺じゃダメか?気持ちを聞くのが怖くて先回りした。俺も卑怯だよな。爺ちゃん達が俺の味方なのをいいことにお前を追い込んだ。わかってるんだ、こんなのダメだって。でもそうじゃないと本当にお前を失いそうで怖かった」

「佑。お爺ちゃん、おばあちゃん。私、先生が言った通り皆には感謝しかない。特に佑には甘えてきたのも事実。佑が嫌いなわけじゃないし、こんな言い方悪いけど、結婚するしかないかもしれないと思ってた。佑のおばさんに憎まれても、佑がそれでいいって言うなら、将来のお爺ちゃんとおばあちゃんのことを考えるとそれしかないって思ってた」

「佳穂……」

 おばあちゃんが辛そうに私を見た。

「でも、先生を……好きになってしまって……私は普通の結婚はできないからいけないと思っていたのに、それでも先生は……」

 私が顔を覆ったのを見て、先生は私を抱き寄せた。

「はあ……わかったよ」

 佑は絞り出すように言った。

「佑君。実は僕がお爺様の借金を肩代わりするつもりで今日は話し合いに来たんだ。どうだろう。畑は君に将来的に譲った方がうまくいくような気もするんだ。佳穂、いいかい?」

 私はうなずいた。

「畑の金額は借金とは関係ない妥当な金額で買ってください。その購入金額を借金返済に充てさせてはもらいますが、足りない分は僕の方で債務先に連絡して支払いを肩代わりします。ただし、違法な取り立てや、過剰な利子などないかこちらできちんと精査して債務先と連絡を取り合いますので、そこは安心してください」

「肩代わりってそんな……」
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