彼女は渡さない~冷徹弁護士の愛の包囲網
お爺ちゃんが焦った。
「僕は佳穂の夫です。本来なら家族ですから肩代わりどころか払うのが普通ですよ。でもそれでは納得できないでしょう。畑の収入や佳穂の給料分からいくらかもらいますから大丈夫です」
「佑。畑をよろしくお願いします。それと、色々今までありがとう。甘えてしまってごめんなさい」
私は丁寧に頭を下げて佑に言った。
「わかったよ。甘えてくれて嬉しかった。これからも畑を通じて友達でいてくれよ」
「もちろんよ。何もかも隠さず話せるのは越してきてからあなただけだった。あなたのお陰で今の私がある。感謝してる。これからもよろしくね」
「ああ。先生、たまにはふたりで食事に行かせてくださいよ」
先生はぴくりと眉を動かして私と佑を見た。
「略奪は罪だぞ」
私と佑は顔を見合わせて笑った。
「略奪されないようしっかりしろよ、先生」
佑はにやりと笑った。
「もちろんだ。佳穂、君も悪いことをしないように」
「どうして信用してないんですか?」
「君はほだされやすい。困った人だからね」
おばあちゃんが先生に頭を下げてくれた。