彼女は渡さない~冷徹弁護士の愛の包囲網

 先生は私の横に来るとそっと私を抱きしめた。

「佳穂」

 先生の胸から顔をあげると、そっと口づけられた。

「ん……」

「僕は君を妻にして一生守り続けるともう一度誓うよ」

「先生……」

 その夜、私達はお爺ちゃん達の懸念もなくなり、解放されたのか遅くまで愛し合った。ひ孫早く作ろうと先生が耳元で言ったが、とにかく先生のほうにもご挨拶してからと先生を止めた。

 翌日、先生の妹さんである蛍さんが昼過ぎに事務所へいらっしゃった。でもひとりではなかった。

「こんにちは」

「あ、蛍さんいらっしゃいませ」

 その後ろから蛍さんに顔立ちの似た男性が入ってきた。

 すると、佐々木さんが急に立ち上がり、それに気づいてこちらを見た池田さんも勢いよく立ち上がった。

「大先生、ご無沙汰してます」

「ああ、君達久しぶりだな」

 初対面だった私が緊張して棒立ちになっているのを見た蛍さんが微笑んで紹介してくれた。

「水世さん、会うのが初めてだったのね。こちら父です」

「え?」
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