彼女は渡さない~冷徹弁護士の愛の包囲網
「お父さん、カッコいい!」
蛍さんがお父さんを叩いた。お父さんはびっくりしたようで赤くなっていた。
「よかったね、お兄ちゃん、佳穂さん。嬉しいな、お姉ちゃんが出来た」
「櫂、佳穂さん、結婚おめでとう。結婚式はしないのか?」
私達は顔を見合わせた。
「そうだな、佳穂の祖父母には見せてあげるべきかもしれない。僕も見たい」
「でも、あまり大げさにしないほうがいいと思います。私のことを聞かれると……」
「内輪で披露宴をしてもいいかもしれないな」
「そうだよ、そうだよ。変なこと言わない人だけ集めてさ」
「ああ、そうだな」
「まあ、早いうちがいいだろうな。一度母さんも入れて家で夕飯でも一緒にしよう。彼女を連れてこい。蛍、そろそろ帰るぞ」
お父様が立ち上がった。蛍さんも立ち上がった。
「父さん」
「なんだ」
「彼女のこともそうだけど、仕事のこと……理解してくれてありがとう」
「これだけ成果を上げられたら何も言えん。その代わり、縁談を断ったこともあるし、日本法人が出来たら彼の仕事は出来るだけ頼まれたらやってやることだ」
「わかりました」