彼女は渡さない~冷徹弁護士の愛の包囲網

エピローグ

 私達は実家近くの神社で家族と三峰先生、佑など家族同然の人達を招いて執り行った。祖父母は披露宴に来ない予定だったので、ふたりに私の白無垢を見せることが出来た。

 式が終わった後、別室に待つように言われた。三峰先生が父を連れてきた。

「お父さん……」

 十数年ぶりだった。式を後ろで見ていたそうだ。

「佳穂。本当に綺麗になったな……」

 お父さんは見るからにやせて別人のようだった。顔も昔はもっと丸かったのに、父の面影を探すのに苦労するほどだった。面会もしない娘に亡くなった母。冷たい祖父母。お父さんの親戚からは皆縁を切られた。どれだけ孤独で大変だったんだろうと思うと涙が出た。

「お父さん……ずっと会わなくてごめんなさい……」

「いや……迷惑をかけたな。弁護士の三峰先生からも話は聞いている。あいつらに追いかけられたそうだな。全部父さんのせいだ。母さんのことも……結局救いたかったのに、殺してしまったようなものだ……」

 お父さんは辛そうに話した。

「お父さん、身体は大丈夫?生活は?」

「ああ、先生の紹介で働いているところで何とか生活してる。佳穂はどうだったんだ?」

「こっちに来てからも色々あったけど、今は幸せだよ。幼馴染の佑も色々助けてくれたし、先生と出会って先生にも救われた」

「そうか……」

 すると後ろから先生が来た。

「初めまして……黒羽櫂です」
< 136 / 141 >

この作品をシェア

pagetop