彼女は渡さない~冷徹弁護士の愛の包囲網
「初めまして、佳穂の父です。私のせいで大変だった佳穂を色々と助けて下さりありがとうございました。この子をよろしくお願いします。どうか幸せにしてやってください」
「はい。全力で守り、幸せにします」
「ありがとう」
お父さんはそう言うと、人目を忍んで帰って行った。
夜は都内へ戻り、披露宴としてレストランで食事会をした。内輪の宴だ。
そこで以前先生と縁談のあったリンダさんという幼馴染のハーフの女性を初めて紹介された。髪はブロンド、でも瞳は黒い。とてもスタイルのいい元気な女性だった。先生が彼女を苦手というのは少しわかった。とにかく先生が背中を叩かれたり、つつかれたりしている。逃げても追いかけまわされたと言っていたのが少し理解できた。
「櫂。この娘ね?」
先生は私の肩を抱き寄せた。
「そう、彼女が佳穂。佳穂、幼馴染のリンダだ」
「初めまして、佳穂です」
「初めまして、リンダよ。あなたが櫂を変えたのね」
「え?」
リンダさんは笑っていた。
「女性をリードすることも嫌っていた櫂が、突然実は結婚してるって言うじゃない。櫂のパパも知らなかったらしくて本当に驚いた。まあ、あの親子は櫂のママがいなくなってから仲悪かったからね。結婚も内緒でしたのかとびっくりだったよ」
「……余計なこと言うなよ、リンダ」