彼女は渡さない～冷徹弁護士の愛の包囲網
「少なくとも、君が心配するようなくだらない噂から彼女を守る覚悟くらい僕にはある。ただ、彼女を採用するかは面談次第だ。もし採用となれば、僕が彼女を守ることを約束しよう」

「水世は僕とこの人とどっちを選ぶんだ？」

　野田君はすごい形相で自分と黒羽先生を指さして聞いた。

「面談に必ず伺います。どうぞよろしくお願いします」

　深く頭を下げた私を見た野田君は悔しそうに唇をかんで頭を上げて目の合った私をにらみつけた。そして踵を返していなくなった。

「悪いな。僕が彼に引導を渡してしまったようだ」

「いいえ……野田君が失礼なことを言ってすみませんでした」

「いや、彼は君を好きなんだろう。それだけは間違いないからわかってあげるべきだな。ただ……まだ色んな意味で少し幼いかな」

　先生は申し訳なさそうに苦笑いをしながら話した。

「ええ。そうですね」

　先生は再度謝ってくれた。そして帰って行った。

　野田君からはそれ以降連絡が途絶えた。悲しいがそういうことだったと思うしかない。

　翌日、黒羽先生事務所に連絡した。そして面談が一週間後に決まったのだった。

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