彼女は渡さない~冷徹弁護士の愛の包囲網
先生は私を隠すように前に立った。
「相変わらず、先生は佳穂のこととなると余裕ないのな。普段の先生とはえらい違いだ。最初にブドウ渡した時も顔色変わったからすぐわかった。先生も佳穂が好きなんだってね。俺はなんとなく気づいていたから宣戦布告したのさ」
「だから先手必勝だ。君だけはあなどれない。佳穂も結婚を考えていた」
「そうだよな、俺もこのままいけるかと思ったのに……佳穂のこと幸せにしてやってくれ。本当に大変だったんだ。頑張ってきたんだぜ」
「佑……あ、ありがとう……」
私は涙が出てきた。嬉しかった。
「もう、泣くのは最後だぞ。佳穂幸せになれよ」
「うん」
家に戻った先生は上機嫌だった。
「どうしたの?結構飲まされてましたよね、大丈夫ですか?」
「佳穂」
「はい」
「僕らは全てにおいて相性がいいと思わないか?仕事も食生活も、あちらの相性もだ」
「え?」
「そろそろ解禁だ」
先生の目が光った。まさか……。
「きゃあ」
先生は私を横抱きした。
「今日の日までは我慢したが、ひ孫のために頑張ろう」
「え?」
私達にこうのとりがやってきたのはそれから半年後だった。お爺ちゃんが喜んだのは言うまでもない。
FIN