彼女は渡さない～冷徹弁護士の愛の包囲網

面接とアクシデント

　面接前に祖父母のところへ週末に戻った。すると、畑の前に見慣れぬ黒い車が停まった。黒いスーツ姿の男性が降りて来て、入口からこちらに入ってきた。しかも、サングラスをかけている。いやな予感がした。

「あの……なんでしょうか？」

「あなたが水世佳穂さんですか？」

　サングラスの二人は私を取り囲むようにして立った。

「そうですが……どちら様ですか？」

　目の前に出された名刺には『〇×ファイナンス』という会社の名前があった。嫌な予感がした。

「水世拓三さんのお嬢さんですね？」

　嫌な予感は当たった。

「もうすぐお父様が戻られるんですよね。もしかしてもう戻った？戻ったならどこにいるか教えてほしいんですよ。ここにいます？」

　丁寧な言葉遣いだが、威圧感がすごい。

「ここにはいませんし、戻ったなんて知りません。父と連絡を取り合っていないんです」

「それじゃあ、あなたのおじいさんに聞いてみるかな？ここの奥かな？」

　彼が指さす方向に祖父母はいる。私は手をとおせんぼして彼らの前に立った。

「おじいさんを守りたいなら、返してもらうにはあなたが働くしかないね。こんなところじゃなくて、もっとがっぽり稼げるところを紹介するよ」

　その男性が私の帽子を取った。長い黒髪が帽子から流れ出た。
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