彼女は渡さない~冷徹弁護士の愛の包囲網
「はい……え?わかりました……」

 電話を切った男は私を見て言った。

「今日の所はここまでだ。また来るからな」

 そう捨て台詞を残していなくなった。

「佳穂、大丈夫か?」

 佑は日に焼けた顔を私に向けて心配そうに言った。

「佑、ありがとう……」

 後ろから祖父母が転げるように走ってきた。

「なんか二人以外の大きな男の声がするから心配になってきてみたら、やはりあの車か?」

 お爺ちゃんが言った。

「うん。それより聞きたいことがあるの、お爺ちゃん」

「佳穂、大丈夫だった?」

 おばあちゃんが心配そうに私の側で聞いた。

「お爺ちゃん。お父さんはどこに?」

 佑とお爺ちゃん達は目を合わせてため息をついた。

「そのことだが……」

 お爺ちゃんは説明を始めた。お父さんは先月仮釈放になっていたらしい。どうして私に教えてくれなかったのかと詰め寄ると、三峰先生が就活中の私の為内緒にしていたそうだ。
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