彼女は渡さない~冷徹弁護士の愛の包囲網
「こんなことがあると佳穂が心配だ」

 佑が私を見て言った。

「佳穂、うちに来いよ。送り迎えも僕がする。守ってやるからさ」

 腕の力こぶを見せてパンパンとたたいている。確かに喧嘩は強かったけど、そう言う相手じゃない。それに佑の家を巻き込みたくない。

「絶対関わっちゃだめだよ、佑。佑はそれでなくても色々とうちのことを気にかけてくれるけど、お父さんの関係は私達でなんとかする。佑のお母さんに知れたら、大変なことになる」

 佑のお母さんは、高校時代から佑が私を庇うのを見て、付き合ったりしないようにときつく言っていた。加害者家族である私と仲がいいことを心配していたのだ。

 父が出てきたとなると、知れたら大変だ。

 祖父は三峰先生と一緒に父と会ったらしい。先生は父に住み込みの仕事を紹介したと言っていた。それよりどうして借金取りが来たんだろう。まさかまたお金を借りたの?

「そんなことを言っている場合じゃない。今日現れたんだから、明日も来るぞ。佳穂にターゲットを変えたんだろ」

「……そんな……」

「緊急事態だ。とにかく家に帰って相談してみるよ。母さんはぐちゃぐちゃ言っても、父さんはおそらく許してくれると思う」

 佑は一度家族に話してくると言って出て行った。

「お爺ちゃん。佑は巻き込みたくない」

「佳穂、どうしてあいつらはお前を……」

「お爺ちゃんより私の方がお金を搾り取れると思ったんじゃないの?」

 先生はどうして私に黙っていたんだろう。私は先生に連絡をした。
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