彼女は渡さない~冷徹弁護士の愛の包囲網
「嘘だ」
「嘘ではありませんよ。あなた方御兄妹の苦労もよくわかっています」
「……」
「しかし、ここでこんな騒ぎを起こしたらあらゆる意味でマイナスにしかなりませんよ。当事者の妹さんはお兄さんが弁護士事務所で暴行未遂を起こしたと知ったらさぞ悲しむでしょうね」
「そ、そんな……」
「二度とこんなことをしないと誓ってください。そうすれば今回だけは目をつむります。少なくとも、私はね」
「わかった、もうこんなことはしない」
「でも、そこの彼女が許すかどうかは別ですよ。一般市民ですからね。君、怪我はありませんか?」
先生は知らぬふりで私に話しかける。私も応じた。
「はい、大丈夫です」
男性は先ほどの勢いはどこへやら、私を見ると声を落として聞いてきた。
「君、事務所の人じゃないのか?」
もうすぐなるかもしれないが……少なくとも今は違う。
「だから、違いますと最初言ったのに聞いてくれませんでしたよね……」
「す、すまん。カッとなって確認もせず……悪かった。許してくれ」
男性は頭を下げた。悪い人じゃないのはよくわかった。
「わかりました。でも妹さんのためにも二度とこんなことはしないでください。お願いします……これ以上、妹さんを傷つけないであげてください」
「嘘ではありませんよ。あなた方御兄妹の苦労もよくわかっています」
「……」
「しかし、ここでこんな騒ぎを起こしたらあらゆる意味でマイナスにしかなりませんよ。当事者の妹さんはお兄さんが弁護士事務所で暴行未遂を起こしたと知ったらさぞ悲しむでしょうね」
「そ、そんな……」
「二度とこんなことをしないと誓ってください。そうすれば今回だけは目をつむります。少なくとも、私はね」
「わかった、もうこんなことはしない」
「でも、そこの彼女が許すかどうかは別ですよ。一般市民ですからね。君、怪我はありませんか?」
先生は知らぬふりで私に話しかける。私も応じた。
「はい、大丈夫です」
男性は先ほどの勢いはどこへやら、私を見ると声を落として聞いてきた。
「君、事務所の人じゃないのか?」
もうすぐなるかもしれないが……少なくとも今は違う。
「だから、違いますと最初言ったのに聞いてくれませんでしたよね……」
「す、すまん。カッとなって確認もせず……悪かった。許してくれ」
男性は頭を下げた。悪い人じゃないのはよくわかった。
「わかりました。でも妹さんのためにも二度とこんなことはしないでください。お願いします……これ以上、妹さんを傷つけないであげてください」