彼女は渡さない~冷徹弁護士の愛の包囲網
「先生、池田さんにそんな言い方はよくありません」
「み、水世さん……」
「は?」
「先生は勝手すぎます。池田さんや佐々木さんはそれでなくても細かい先生の指示に従っているのに、部屋の掃除までやる時間なんてあの当時からありませんでした。それに皆辞めちゃうのも当たり前です。厳しすぎるんですよ。言っておきますが、私はかなり耐えてました。弁護士秘書を大切にしない先生が悪いんですよ」
私は昔のように先生に言い返した。先生は私をじーっと見ている。二年前ならここからがみがみと雷を落としてきていた。私は身構えた。ところが、なぜか先生はお腹を抱えて笑い出した。
「くくく……あはは……はあ……水世が帰ってきたな」
「水世さん、ありがとう。先生、やっぱり彼女が一番でしたね」
「ああ、そのようだな」
「え?」
どういうこと?
「やっぱり水世だけだな。僕に言い返してくるのは未だかつてお前ひとりだ」
先生はにやりと私を見た。まずい……。
「そ、それは、すみません……つい、また言いすぎましたね。申し訳ございません」
「いや。お前がいなくなってから急に事務所が静かになってどうも調子がおかしいと思っていた。これが正解だったんだな」
「はい、そういうことですよ、先生。水世さんが正解です。彼女ほど、先生に臆することなく意見を言って逆らえる人は他にはいませんでした!」
「み、水世さん……」
「は?」
「先生は勝手すぎます。池田さんや佐々木さんはそれでなくても細かい先生の指示に従っているのに、部屋の掃除までやる時間なんてあの当時からありませんでした。それに皆辞めちゃうのも当たり前です。厳しすぎるんですよ。言っておきますが、私はかなり耐えてました。弁護士秘書を大切にしない先生が悪いんですよ」
私は昔のように先生に言い返した。先生は私をじーっと見ている。二年前ならここからがみがみと雷を落としてきていた。私は身構えた。ところが、なぜか先生はお腹を抱えて笑い出した。
「くくく……あはは……はあ……水世が帰ってきたな」
「水世さん、ありがとう。先生、やっぱり彼女が一番でしたね」
「ああ、そのようだな」
「え?」
どういうこと?
「やっぱり水世だけだな。僕に言い返してくるのは未だかつてお前ひとりだ」
先生はにやりと私を見た。まずい……。
「そ、それは、すみません……つい、また言いすぎましたね。申し訳ございません」
「いや。お前がいなくなってから急に事務所が静かになってどうも調子がおかしいと思っていた。これが正解だったんだな」
「はい、そういうことですよ、先生。水世さんが正解です。彼女ほど、先生に臆することなく意見を言って逆らえる人は他にはいませんでした!」