彼女は渡さない~冷徹弁護士の愛の包囲網

採用と婚約者

 黒羽先生に目の前のソファに座るよう促された。

「水世」

「はい」

「昨日、実家でお父さんの闇金に捕まったそうだな」

 三峰先生が話したのか……。もしかしてやっぱり迷惑をかける可能性があるから不採用?

「三峰先生から君の身柄を含め頼まれた。ご実家のほうは先生がなんとかしてくれる。ただ、君がターゲットになっているようだから危険も多い。それでだ……水世は明日から僕のところで生活してもらう。いいな?」

 まっすぐ先生は私を見て言った。何を言っているんだろう?生活?

「あの、どういう意味でしょうか?」

「僕が君を守りやすいところ、つまりは僕のマンションへ引っ越してきてもらう」

 先生は立ち上がって、窓から見える高い高層ビルのうちのひとつを指さした。

「見えるか?あの三角形の角があるビル。私の住んでいるマンションだ」

「えー!む、無理です。先生のマンションってもしかしてすごいマンションなんじゃないですか?そんなところ、私借りるお金ありません」

「……誰が自分で借りろと言った?」

「え?違うんですか?」

「僕の部屋に住みなさい」

 どういうこと?まさか、同居?
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