彼女は渡さない~冷徹弁護士の愛の包囲網
「木内先生じゃなくて、お前の下に入れるとかそういうことか?」

「うん」

 木内弁護士も三峰先生の知り合い。大学に来た時少し話をした。加害者弁護に興味があって、その家族を支える仕事をしたいと話したことがあったのだ。

「木内君から少し聞いたが、水世さんは加害者家族や被害者家族のケアに興味があるようだね」

 今までの社交辞令で見せていた微笑みが急に鋭い視線に代わった。やはりそうだった。こうなる気がしていたのだ。

「そう、ですね……」

「それならうちじゃないほうがいいんじゃないか。木内からも聞いたと思うが、うちは加害者弁護をやる余裕がなくてね。それに君がそういうことに興味があるのはれっきとした理由があるようだから、特にうちの事務所では力になれそうにないんだ。申し訳ない」

「父さん!そんな言い方ないだろう」

「じゃあ、どんな言い方がいいんだね?はっきり言うのか?どの弁護士事務所にも案件を選ぶ基準や方針がある」

 私を探るようなお父様の眼が瞬いている。
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