彼女は渡さない~冷徹弁護士の愛の包囲網
 確かに、先生は教職についているし、そういう怖い人達が学校に来るのは困る。だから黒羽先生に私を任せたのね。

「わかりました」

「そうだ、幼馴染君が大学に現れたわよ。本当に心配性ね」

「え?」

「なんだかあなたを自分の家に連れて行くって言ったらしいわね。心配してくれる素敵な幼馴染君がいてよかったわね」

 先生は佑のことを知っているが、いつもからかう。私が彼の告白を断って、お付き合いしないのはどうしてかとしつこく聞いてくる。理由は先生も知っているはずなのにだ。

「先生、すみませんでした。佑に伝えておきます」

「彼は納得しないかもしれないけど、これが最善よ」

 すると、下からおばあちゃんの声がする。

「佳穂、佑君が来たわよ」

「わかった。ちょっと待って……先生すみません」

「本当に彼は過保護ね。あなたのことを守りたくてしょうがないのよ。私のことも怒ってた。まあ、気持ちはわかるけどね。好きな子に他の男を紹介して同居させるなんて、私のやったことは彼からしたらとんでもないものね。だから、黒羽君と同居するならきちんと自分の気持ちを伝えるべきよ」

「……はい……」

「おそらく、闇金連中はおじい様よりあなたにターゲットを変更していると思うわ。くれぐれも気を付けてね」

「はい。父や祖父母のことよろしくお願いします」

「ええ」
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