彼女は渡さない~冷徹弁護士の愛の包囲網
先生の寝顔は思いのほか無防備でなんだか可愛かった。それに男性にしてはとてもまつげが長い。正直私より長いんじゃないかと思った。うらやましいと考える自分がおかしくてふいにくすっと笑ってしまった。
すると、フルフルとその長いまつげが動いて、目がぱちりと開いた。
「わっ!……ぷっ」
私はびっくりしてひっくりかえりそうになった。
すると先生の腕が伸びて来て私の腕をつかんだ。そしてぐいっと引っ張られた。
顔から先生の布団の上に突っ伏した。
「これは驚いた。結婚しようと約束した翌朝から夜這いならぬ、朝這いか?」
「そ、そんなことしてません!朝ごはんができたから先生を起こしに来たんですよ。ノックしたのに返事がないから見に来たんです」
「さっき僕の顔を真横で見てただろ。何をしようとしてたんだ?起こすだけとは思えなかったけれどな」
にやりと先生が笑ってこちらを見ている。私は真っ赤になった。
「何もしようとしてません!ただ、見てただけです!」
「ふーん……真っ赤だぞ」
「もう、からかわないでください」
「からかってない。案外可愛いなと思っただけだ」
先生は私を抱き寄せ、キスをした。
「ん、ん……せ、先生……時間……」
先生は唇を離すとおでこにキスをひとつ落とした。