彼女は渡さない~冷徹弁護士の愛の包囲網

「初対面の女の子を何をじろじろ見てるんでしょうか。川口先生、訴えられますよ」

「可愛い子だからじっと見ただけなのに訴えられるの?そうなったら弁護士は忙しくなるだろうね」

「あ、あの……」

「ああ、ごめん。櫂と僕は大学時代同じゼミだったんだよ。でも僕は民事中心なんだ」

 同じゼミ?もしかして、三峰先生の教え子のひとりかもしれない。

「あの、三峰先生の教え子さんですか?」

「そうだよ」

「私もそうです」

「そうだったのか。三峰先生はお元気?最近すっかりご無沙汰してるんだ」

「はい、とてもお元気です」

「そうか。僕がいたころはまだ三峰先生の本業は弁護士だったからね。大学へ週に何日かだけ教えに来ていたんだ。今はすっかり教授だっけ?」

「そうです」

「君は三峰先生の推薦する教え子なら優秀だろう。あの悪魔の黒王子でも、今度こそさすがにクビにはできなかったんだな」

「そういうことじゃないんです」

「なにが?」

「えっと個人的事情で先生に助けて頂いている最中です」

「どういう意味?」
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